汚染水問題に出口はあるのか?(上)

汚染水問題。出口が見えません。
今朝も新たな汚染水漏れが明らかになりました。
毎日新聞【福島汚染水漏れ:高放射線量を検出 敷地内の同型2基から】

タンク鋼板の接合部(例のボルトで接合した部分を指しているのか)から汚染水がしみ出しているだけで、毎時1800ミリシーベルト。
ご存じの通り一般公衆の線量基準は年間1ミリシーベルトです。なんと1,576万8千倍!この放射線を浴びたら、たった2秒で1ミリシーベルトに達します。
放射線業務従事者の年間20ミリシーベルト(5年間で100ミリシーベルト)という基準には40秒で。すべての人が死に至るという7000ミリシーベルトにも4時間足らずで達してしまいます。
まず、この毎時1800ミリシーベルトが、とんでもなく危険な放射線量であることを確認しましょう。

東京電力曰く「タンクの監視は目視で行っていたが、先月末から放射線の測定器を携帯した結果、高い放射線量が観測された」と。放射線を発する高濃度の汚染水タンクの監視に線量計すら持って行かなかった… マスメディアは、その「ずさんさ」を指摘していますが、おそらく東電は、「線量計を持って行けば、どこかで高線量が出てしまうから」と、汚染水漏れを織り込んだ上で、あえてずさんなパトロールで済ませていたのでしょう。

もうひとつ、8月20日に発覚した300トンの汚染水漏れ。
福島民報【タンク汚染水漏れ過去最大300トン 第一原発 高濃度8000万ベクレル検出】

見出しになっている「8000万ベクレル」は「1リットル当たり」の濃度です。漏れたのは300トンですから合計24兆ベクレル。
これはもう非常事態です。「原発事故収束宣言」はただちに撤回すべきです。

ここでひとつ明らかになったことがあります。この300トンには、放射性セシウム(セシウム137とセシウム134)が高濃度で含まれていたのです。
以下は、原子力規制庁が明らかにした数字です。
セシウム134 : 4万6千ベクレル/リットル
セシウム137 : 10万ベクレル/リットル
全ベータ線核種:8000万ベクレル/リットル
参照:キノリュウイチのblog

この数字をどう見るかですが、まず、セシウム除去装置を通したあとの汚染水なのに、放射性セシウムがかなり残っていることが分かります。
ちなみに国が示した<海への放出が認められる放射性
セシウムの濃度限界>は、セシウム134が60ベクレル/リットル、セシウム137は90ベクレル/リットルです。セシウム除去装置の効果は知れたものです。
そして、問題はセシウムだけではありません。見方を変えると、さらに恐ろしい事態が浮き彫りになります。濃度限界をはるかに超える高濃度の放射性セシウムは、汚染水に含まれる全ベータ線を出すすべての放射性元素(全ベータ線核種)の0.18%の過ぎないのです。とんでもなく高濃度の汚染水なのだということが、お分かりいただけるでしょう。
セシウム以外の99.82%には、多くのストロンチウム90が含まれています。その危険性については、以下の当ブログの記事を参照してください。

【ストロンチウム90に警戒を】
【再度、ストロンチウム90に警戒を】
【海からストロンチウム】
【恐怖のストロンチウム90】

長くなってしまったので、ここで記事を分けることにします。

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