恐怖のストロンチウム90

本ブログを含む多くの所で多くの人たちが危惧してきたストロンチウム90による大規模な海洋汚染。
遂に、東電も政府も認めざるを得なくなりました。
高濃度のストロンチウム検出 福島第一の地下水や海水
ストロンチウム90が骨に溜まって白血病を引き起こす可能性があることは、今や常識となっています。「それなのに」なのか「だからこそ」なのか、東電からも政府からもストロンチウム90に関する情報は、ほんの小出しにしかされてきませんでした。

福島11地点でストロンチウム 原発から60キロでも
の記事も、つい数日前の6月8日でした。
運転中の原子炉で、ストロンチウム90は、セシウム137とほぼ同量が生成されると言われます。ただ、セシウム137に比べて大気中に飛散しにくいので、事故現場から離れた場所では少なくなる傾向があります。
そのストロンチウム90が福島第1から60kmも離れた福島市で検出されたことは重大です。

一方、今回の事故では、大量の汚染水が海に流れ出しています(棄てているとも言える)。
ここで、危惧されるのが、ストロンチウムが水に溶けやすい物質だということです。炉心や使用済み燃料プールで核燃料を冷やすために使われた水には、当然のようにたくさんのストロンチウム90が溶け出しています。
海に流れ込むストロンチウム90。それは、まず、プランクトンや海藻に吸収されるでしょう。そして、昨今話題になっているコウナゴなどの小魚へ。食物連鎖に従って、中型魚、大型魚、あるいは海鳥へと汚染が進みます。そして、何よりも恐ろしいのは食物連鎖の上位に行くに従って、汚染物質の濃度が上がっていくという事実です。

水産庁は、今頃になって慌てて、魚類のストロンチウム90の検査を骨まで含めて行う、などと言っています。そんなことは、当たり前の話です。同じ記事に、海藻の検査も始めると書かれていますが、言わずもがなです。事故の翌日からでも始めるべきでした。

そして、まだやっていない重要なことがあります。
どうして、オキアミなどのプランクトンを調べないのか?
オキアミを主食にしているのは鯨だけではありません。秋、三陸沖から福島沖を通って銚子沖まで下る秋刀魚は、オキアミを追っているのです。
「オキアミは海洋生態系のエンジンを動かす燃料」と言われます。オキアミを調べなければ、放射性物質による生態系全体の汚染の実態は、絶対に掌握できません。対策も対応も、どんどん後手に回っていくことでしょう。役人たちは何を考えているのか?危険な値が出たら、面倒な仕事が増えるので困るとでも考えているのでしょうか。可能な限りのデータを収集し、そのすべてを迅速に公開する。今ほど、この基本姿勢が問われている時はありません。ストロンチウムの検出には1~2か月が必要などというでたらめな話も出ていますが、専門家によれば、一週間から10日もあれば十分だそうです。
グズグズしている間に、海から、そして魚から、ストロンチウム90は私たちに迫ってきます。

「しょうがないから、今年の秋刀魚は諦めるか…」なんて悠長な事態ではありません。
繰り返します。ストロンチウム90は、体内に入ると骨に溜まり、骨髄に至近距離から放射線(ベータ線)を浴びせます。そこには、白血病の大きな恐怖があるのです。

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