竹の子とイノシシ

福島県産のタケノコとコゴミから国の基準を越える放射性セシウムが検出されました。

植物は、みずからの命を維持するために、主に地中からカリウムを吸収します。農業や園芸の世界で三大栄養素と言えば、窒素、リン酸、カリ。カリとはカリウムのことです。セシウムは化学的な性質がカリウムと似ているため、タケノコは、福島第1原発から漏出した放射性セシウムをせっせと体内にため込んだのです。
しかし、タケノコが生えている土壌を調べてみても、とんでもない濃度の放射性セシウムは検出されないでしょう。タケノコが見事に放射性セシウムを濃縮しているのです。これは、ちょっと考え直してみれば当たり前のことで、タケノコは、みずからの命を守るために、地中のカリウムを何十倍、何百倍に濃縮する能力を持っているのです。カリウムかと見間違った放射性セシウムをどんどんため込みます。

チェルノブイリから25年。ドイツですら、いまだに放射性物質の濃度が高すぎて、食用にできないイノシシが獲れます。イノシシの大好物がキノコで、そのキノコが地中に残るあの時の放射性物質を濃縮しているからです。

私たち地球上に生きる命は、体の中で放射性物質を見つけ出し、それを選択的に排泄したり、排除したりする能力を持っていません。従って、食物連鎖に輪に放射性物質が入り込んだ時、これに対抗するのは大変に難しいことになります。

25年前に旧ソ連で原発事故があり、放射性物質がヨーロッパにも降り注ぎました。その放射性物質はキノコに取り込まれ濃縮されます。そのキノコを食べたイノシシは、さらに放射性物質を濃縮します。それを知らずに人間が食べたら… 恐怖の「風が吹けば桶屋が儲かる」。これはギャグではありません。

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