魚と放射性物質:追記

やはり、コウナゴからセシウム137が検出されました。
海の生物たちは、海に広がったはずの放射性物質を、悲しいかな、せっせと集めて体内に取り込み、濃縮までしてしまうのです。
食物連鎖に従って、コウナゴを食べる中型魚、大型魚に汚染が広がる可能性は大です。一方、プランクトンにも汚染が広がっていると思われますから、今後、他の魚介類からもセシウム137が検出されるでしょう。何も悪いことをしていない漁業関係者に誰がどう謝るのでしょうか。さて、魚に限らず、生物はセシウム137をカリウムと同じように扱います。原子の周期律表で見ると、どちらも一番左の列(アルカリ金属)です。これは、セシウムとカリウムの性質が似ていることを示しています。言ってみれば、人間を含めて、生物は皆、セシウム137をカリウムと勘違いして体内に取り込んでしまうのです。

一方、カリウムは生物にとって不可欠な栄養素の一つです。農業関係、あるいは園芸を少しでもやったことがある人は、すぐに分かると思いますが、植物の三大栄養素は、窒素・リン酸・カリ(カリウム)。動物の体内でも、細胞の基本的な活動を支えています。
このカリウムの代わりに、放射線を長い期間にわたって発し続けるセシウム137が入り込んでしまったら… 恐ろしいことなのです。

栄養素を体内で濃縮するという生命体の基本とも言える活動が、危険な放射性物質を体内にため込む働きをしてしまう。このパラドックスは、地球上に、余分な放射性物質を絶対に作ってはいけないことを示しています。

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