原発と経済(1):貿易赤字と原子力

「原発が止まってるから、貿易赤字が拡大して、日本経済は危機だ」というような主張が、政府や財界から繰り返されています。
本当なのでしょうか?
今現在、一基の原発も稼働していないのに、私たちは電力不足による不自由を感じることはありません。計画停電なんてやっているところは日本中どこにもありません。新幹線が停電で止まったとも聞きません。
日本と日本経済が、原発なしで十分にやっていけていることは明らかです。
冒頭に掲げた貿易赤字の問題はどうでしょうか?
実は、当サイトは「仮に貿易赤字が膨らんだとしても、原発を再稼働させてはいけない!」と考えてきました。ところが、これは取り越し苦労に過ぎなかったのです。
2月2日の毎日新聞朝刊の『視点』を読んでビックリ!実は、貿易赤字と原発は、ほぼ関係なかったのです。
安倍首相は1月29日、参議院の代表質問で「昨年、原発がないことで化石燃料の輸入に3.6兆円も多く支払った」と言い放っています。
しかし、原油の輸入量を見てみると、震災前から少し減っている状態です。
次に、原油輸入額の推移を見てみましょう。

毎日新聞は、2013年の輸入額を2010年と比較して1.5倍になったとしていますが、もう少しさかのぼれば、リーマンショックのあった2008年とほぼ同じです。2013年の原油輸入額は、ビックリするほど高いわけではありません。
今度は、2つのグラフを見比べてみましょう。
輸入量は2009年以降横ばい。輸入額は跳ね上がっています。もうお分かりだと思いますが、原油の輸入額が増えたのは、原発が止まって原油の使用量が増えたらからではありません。単に価格が高騰したことによるのです。
天然ガス(LNG)はどうでしょうか…
確かに、2012年の輸入量は2010年の1.25倍になっています。
一方で、天然ガスの価格は2009年あたりから、大きく跳ね上がっていました(以下サイトを参照してください)。
3.11以前の天然ガス価格高騰の原因は、主に原油価格の上昇に引っぱられたものでしょう。原油が高いから、需要が天然ガスに集中したのです。
ところが2011年、特に日本向けの天然ガスだけが、さらに激しく値上がり。これは、言葉は悪いですが「足もとを見られた」のです。
毎日新聞は、2010年と2013年では天然ガスの輸入額が2倍になったと書いています。
その原因は何だったのか… “トモダチ作戦”が聞いて呆れます。震災と原発事故で追い込まれた日本から、カネをむしり取っていった輩がいるのです。
話を戻しましょう。
ひとつ見落としてはいけないのは、3.11とは無関係に、日本はとても高い天然ガスを買い続けてきたということです。
主な原因は、購入側に交渉力がないからだと言われています。要するに言い値で買わされていると… 日本が買っている天然ガスの価格は、アメリカの5倍以上、イギリスの2倍近くです。
本来ならば、政府の交渉力によって、3.11以降の足もとを見るようなえげつない値上げを阻止すべきでした(これは、菅政権、野田政権、安倍政権共通)。
アメリカ並みと言わなくても、イギリス並みの価格で天然ガスを買えていれば、輸入量が1.25倍になっても、輸入額は十分に下げることができたのです。
いかがでしょうか?
安倍首相の「昨年、原発がないことで化石燃料の輸入に3.6兆円も多く支払った」という発言は、まったくの嘘なのだということがお分かりいただけたと思います。
加えて、安倍政権の『三本の矢』とやらで進められた円安誘導が、原油や天然ガスの価格をさらに引き上げました。
「原発が止まって貿易赤字拡大」は虚構。ある種、安倍政権の自作自演の下手な芝居とも言えるのです。
騙されてはいけません。

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