今すぐ、『黒い物質』を取り除け

先にアップした『南相馬の黒い物質』の続編です。
高い放射線量を示す黒い物質の正体は、生物学的にはらん藻や地衣類。一般には苔や藻の一種と受け取られている原始的な植物でした。

なぜ、苔や藻に放射性セシウムが濃縮されるのか… それは、みずからが生き延びるために栄養素としてカリウムが不可欠で、化学的な性質が似ているセシウムをカリウムと間違えて取り込んでしまうからです。
苔や藻は、雨水や河川の水から巧みにカリウムを吸い取って生きています。そのメカニズムに放射性セシウムが入り込んでいるのです。

自然界での水の循環という視点で見ると、苔や藻は、雨水から放射性セシウムを漉し取っています。山林から川や田んぼへと流れ込む水からもです。いわば天然のフィルターとして働いているのです。
掃除機のフィルターには、家中の埃が集まります。そんなイメージで苔や藻に放射性セシウムが集まっているのです。

苔や藻というフィルターに放射性セシウムが集まっている… 放っておけば、その汚れたフィルターに触る子どもが出てきます。赤ちゃんだったら、触った指先をそのまま口に入れるでしょう。

一方、苔や藻に集まっている分、若干ですが環境中の放射性セシウムは減ります。しかし、そのまま放っておけば、いつかは枯れて、ふたたび環境の中に戻ってしまいます。苔や藻に集まっている間こそが、放射性セシウムを回収する絶好のチャンスとも言えるのです。

さて、南相馬の大山こういちさんと京都大学原子炉実験所の小出裕章先生のやり取りの中で、「黒い物質」に含まれる放射性セシウム(134と137の合計)に関して、
南相馬で200万~600万ベクレル/キログラム
葛飾区の水元公園で20万~30万ベクレル/キログラム
都下東村山市で2万ベクレル/キログラム
という分析結果が出ています。
大山さんたちの独自の調査では、南相馬では1000万ベクレル/キログラムというデータもあるようです。
●参照:『南相馬市 大山こういちのブログ

視点を変えて、現行の法律で、放射性物質の取扱について、どのように規定されているのか見ていきましょう(リンク先は、例によって分かり難い役所用語の羅列ですが、詳しく知りたい方はご参照ください)。

放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行令』に、別に定める下限数量と下限濃度を越える放射性同位元素を厳重に管理すべく規定されています。
その下限数量と下限濃度を定めたのが、以下の文科省(旧科技庁)の告示です。
放射線を放出する同位元素の数量等を定める件』の別表第1「放射線を放出する同位元素の数量及び濃度」(19ページ)には、放射性物質として扱わなくてはいけないセシウム134とセシウム137の下限数量が=1万ベクレル、濃度が10ベクレル/グラム以上と定めれています。
10ベクレル/グラム=1万ベクレル/キログラムです。
要は、「1万ベクレル/キログラム以上の濃度の放射性セシウムが1万ベクレル以上あったら、それは厳重に管理しなくてはならない」と定められているのです。

今ここに、スプーンでこそげ取った苔か藻が10グラムあったとします。放射性セシウムの濃度を計測したら100万ベクレル/キログラム。総量は「管理すべき下限数量」の1万ベクレルに達します。濃度が1000万ベクレル/キログラムなら1グラムで下限数量越えです。

東村山の2万ベクレル/キログラムで言えば、500グラムで下限数量越え。500グラムの苔や藻は、ちょっと一生懸命やれば、一人でも10分もあれば集められます。
そんな危険な放射性物質が、私たちの身の回りのいたるとこに存在しているのです。しかし、政府も自治体も、こういった苔や藻の撤去や管理に乗り出していません。法律的に見てもその義務は明白なのに…
また、前述の通り、苔や藻に集まっている間こそが、放射性セシウムを回収するチャンスでもあるのです。

「苔や藻には絶対触ってはいけないよ」。何十年にもわたって、子供たちに教えていくのでしょうか?川で遊ぶことも、森で遊ぶことも一切禁じるのでしょうか?

苔や藻があったら、とにかく安全に撤去する。もちろん、素人がやると危険ですので、今すぐ、行政が正面から取り組むべき課題です。

追記:
高線量を発する藻や苔は、黒いものばかりではありません。当方の調査では、湿気の多い地面に繁殖するモウセンゴケの仲間や、河川の岩にへばりつく緑色の苔も、同様に高線量を発しています。
藻や苔は種類にかかわらず放射性セシウムを高濃度に蓄積すると判断して間違いないでしょう。

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