東電に値上げを言う権利はあるのか?

毎日新聞が『東電値上げ8.47% 消費者目線、置き去り』と報じました。
結局、東電の値上げ申請が認められることになりそうです。
経営の悪化の原因は言うまでもなく福島第1の事故。消費者庁が少しだけ頑張った形跡はありますが、いずれにしても過酷事故のツケを電力使用者に押しつけてくることには、誰も納得がいかないでしょう。

「東電の資金がショートしてしまって、労働者に給料が払えないとか、下請けに支払いができないといった事態に陥ると、大停電が起きてたいへんなことになる」というのが威し文句なのですが、電気料金の値上げと公的資金(要するに税金)の注入の前に、やるべきことがたくさん残されています。
「経理全面公開」「未使用ウラン燃料売却」「全資産売却」「全関連企業の整理・売却」「経営陣・管理職徹底合理化」「発送電分離」です。
羅列しただけでは、空スローガンと批判されそうなので、簡単にその中身を解説します。

●経理全面公開
過去にさかのぼって、東電の全帳簿を誰もが閲覧・監査できるようにします。
経理上、本当に無駄がないかが調べられるし、グレーのカーテンの向う側にある原発を巡る金の流れが明らかになるでしょう。
現行法では、企業に経理全面公開を求めることはできないと思いますが、実質国営化されている現状なら、政府が判断を下せば良い問題です。
私たちは、良心的な公認会計士を雇って、東電の会計のすべてを詳しく監査することができます。また、メディアも自由に調べることができます。

そもそも、競争相手のいない企業ですから、経理全面公開による経営上の不利益はないはずです。

●未使用ウラン燃料売却
東電は、未使用のウラン燃料を大量に抱え込んでいます(残念ながら数値データ無し)。これらについては、カナダに本拠地を置く世界有数の核燃料供給企業『カメコ』が、買い取りの姿勢を示しています。使うアテのないウラン燃料を直ちに返品すべきです。数千億円分はあると見られています。

参照記事:世界の原子力利権と日本-1『ウラン採掘総元締めの予想外』 

●全資産売却
東電病院の売却問題がクローズアップされていますが、他にも売れる資産は山ほどあります。すべて売り、賠償に充てるべきです。

まず不動産ですが、時価100億円超とされる日比谷の本店。他にも、社宅や寮、保養所といった福利厚生施設などが数百あります(すでに一部は整理に入っている模様)。発電に利用していない土地は約1000万坪。これを10万円/坪で計算すると10兆円になります。
動産では有価証券。上場企業の分だけで約3000億円。非上場が700億円。
東電は、桁外れの資産を隠し持ったままなのです。

送電網も全資産に含まれるのですが、これに関しては、最後の「発送電分離」で取り上げます。

●全関連企業の整理・売却
東電は169社の子会社と89社の関連会社を抱えています。その多くが、旧通産省・経産省・文科省・東京都・東電OBの天下り先です。
これらを整理し、売れる会社は売ってしまえば、損害賠償の足しになります。

●経営陣・管理職徹底合理化
言わずもがななので、ここで多くは語りません。

●発送電分離
送電設備=2兆923億円、変電設備=8288億円、配電設備=2兆1540億円。東電が持つ送電関連の固定資産です。合計で5兆円にもなります。これらを複数の民間事業者に売却すべきです。
残る東電が発電部門と賠償補償を担うか、発電部門も売却して東電は賠償補償機関としてだけ残すという二つの方法があります。

いずれにしても、東電の資産は、ほぼすべてが私たちが支払った電気料金を元手にしているものです。その資産を売ることによって、電気料金の値上げと税金の投入を抑えんがら、被害者への補償の原資が得られるなら、実行しない手はないのです。東電の資産は、もともと私たちのお金。このことを忘れないようにしましょう。

そして、発送電まるごと地域で独占という、およそ自由競争とかけ離れた経営の上にあぐらをかいてきたのが日本の電力会社です。これを機に、すべての電力会社について発送電の分離を実行すべきです。

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ちょっと例えは悪いかも知れませんが、大型バスが多数の歩行者を巻き込んだ重大事故を起こしたとします。当然、被害者に対して賠償をしなくてはならないのですが、バス会社は資産を隠して「お金がない」と言い張ります。そして、賠償責任は乗客に転化すると。理屈は、「お客さんたち、バスに乗ってたんでしょ」。
こんな馬鹿げた話はないのです。バス会社はすべての資産を売り払ってでも賠償すべきでしょう。
東電に、値上げを言う権利はありません!

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