失われた福島の米

3.11福島第1原発の事故は、私たちの暮らしにどれだけの被害を及ぼしているのか… 今回は、「福島県の稲作」という視点から見てみます。

農水省が、4月1日からの「食品に含まれる放射性セシウム新基準」にあわせて、100ベクレル/キログラムを超える2011年度産米の全量買い上げ、廃棄処分を発表したのは、3月29日のことです。該当する福島産米は3万7千トン(90億円相当)とされていますが、この報道で決定的に欠けているのは、その3万7千トンが、本来あるべき福島県全体の稲作に対して、どのくらいの比率を占めているのかです。農業関係者であれば、それが約61万7千俵に相当し、普通の田んぼ、すなわち一反(=10アール)の田んぼで6万1千700枚分という、もの凄い量だということがが直感的に分かるのでしょうが、都市生活者にとっては、なかなか実感できないものです。

そこでまず、2010年度と2011年度の福島県の稲作実績を数字で見ることで、3.11の傷跡を確認したいと思います。

100ベクレル/キログラムの基準超えで廃棄される米は、2011年度産米の10.5%を占めています。この数字を知っただけでも、常識をある人なら誰でも『原発はいらない!』という結論に達するはずです。

加えて、作付けすらできなかった田んぼがあったのは、皆さんご存じの通りです。土壌汚染・立ち入り禁止措置による国が定めた作付け禁止(約10,000ヘクタール)と自治体などによる作付け自粛(約600ヘクタール)。両方合わせて、収穫量に換算すると5万8千200トンに相当します。廃棄処分と合わせると9万5千200トン。これが、3.11原発事故で失われた福島の米。原発事故がなければ得られたであろう収穫量の約23パーセントにもなります(津波による冠水・塩害で作付けができなかった分を除いて計算。原発事故にも津波にも関係なく作付けをしなかった田があり得ますが、ごく一部と思われるので、計算上は無視しています)。

そして、原発事故の影響が一年で終わるはずもありません。2012年度、国によって作付けが禁止される区域は、約7,300ヘクタール。自治体による自粛も合わせ、福島県内で作付けが見送られる水田の面積は約1万500ヘクタールに及びます。作付けできない田んぼの面積は、2011年度とほぼ同じです。
100ベクレル/キログラムの基準を超える米は、2011年度産より多少減るかも知れませんが、それなりに出てくるでしょう。

福島の稲作は、原発事故によって大きな傷を負ってしまいました。この傷が癒えるのに、いったい何十年の時が必要なのか… 大きな憤りを覚えずにはいられません。

この事実は、福島の皆さんはもとより、福島産米の大消費地である東京の住民、そして、他の原発の数10キロ圏内(大阪も京都も福岡も入ります)に暮らす人たちに、わが身の問題として考えて欲しいと思います。原発事故は、私たちの祖先が、この列島に営々として築き上げてきた営みを根底から破壊してしまうのです。いとも簡単に。

今、野田政権は、福井県の大飯原発3・4号機の再稼働を画策しているようですが、以ての外です。
すべての原発をただちに廃炉行程へ!それこそが、私たちが歩むべき道です。

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