元旦のスクープ

2012年元旦。朝毎両紙の原発問題を巡るスクープが印象的でした。
まず、朝日新聞。
『原子力業界が安全委24人に寄付 計8500万円』朝日新聞

原子力安全委員会の委員(班目委員長を含む)24人が、原子力関連の企業・業界団体から計約8500万円の寄付を受けていたというものです。
日本の原子力基本法に定められている大原則は、『民主・自主・公開』。この話は、当ブログ『民主・自主・公開という大原則』に書いた通りです。「民主的に運営されるはずだった原子力委員会や原子力安全委員会には、原発に懐疑的だったり、反対の立場を取る科学者は、一人も入っていません」と指摘しました。
ところが、事実はそれどころではなかったのです。原子力安全委員会メンバーは、おそらく研究費の寄付という名目で、原発関連企業から賄賂とも呼んでよい金を受け取っていたのです。早晩、金を受け取っていたメンバーの名前と金額の明細などが出てくると思いますが、この問題を『民主・自主・公開』の立場から厳しく断罪するとともに、法律に照らして犯罪性がないのかも検証する必要があるでしょう。
原子力を推進する側に、「民意をくむ」などという発想はありません。企業の利権と、金の力でそこに絡め取られていく最悪の学者たち。醜いばかりの姿が明らかになっています。

毎日新聞は、『使用済み核燃料:直接処分コスト隠蔽 エネ庁課長04年指示 現経産審議官、再処理策を維持』と報じました。

これは、六ヶ所村で進められようとしている使用済み核燃料の再処理に関わるコストの話。実は、使用済み核燃料からプルトニウムとウランを取り出す再処理をあきらめ、使用済み核燃料をそのまま処分する直接処分にすれば、コスト的には1/4から1/3で済むことが、2004年の段階で明らかになっていたというのです。その情報を握りつぶしたのは、当時の経済産業省・安井正也原子力政策課長で、この人物、現在は経産審議官だというのですから、開いた口が塞がりません。

こういった官僚たちの頭の中にも、「民意」なんて微塵もありません。保身と出世。当然と言えば、当然なのです。みずからが推進している核燃料サイクルプランを否定するようなデータが、身内から出てしまったらたいへんなのです。出世がなくなりますから。ですから、推進側と監視側が同じ組織内にあっては、絶対に駄目なのです。そして、『民主・自主・公開』の三原則を守るためにも、すべての人に対して、原子力関連の情報が、完全な透明性をもって公開されるべきなのです。

毎日新聞は、スクープの後追い解説『解説:使用済み核燃料・直接処分コスト試算隠蔽 原子力ムラの異常論理』で、情報隠蔽の背景を「原子力ムラの異常論理」に結論づけていますが、これは日本の官僚社会一般にある傾向で、原子力では、特に顕著に出ているということです。

経産省内の隠語では、電力業界に絡め取られた官僚を「感電した」、ガス業界に絡め取られた官僚を「ガス中毒になった」と言うそうです。かつてのような、現金による露骨な買収は影を潜めているようですが、酒やゴルフの接待、そして、巧妙なのは、子どもの就職に絡む便宜提供など。嫌になりますが、そんな世界が本当にあるのです。

天秤の片方に乗っているのは、私たちの健康と安全。もう一方に乗っているのは、官僚たちの出世と保身。しかし、天秤を操作するのは官僚たちです。いざとなったら、私たちの健康も安全も、どんどん軽く扱われます。
半原発運動は、その構造にもくさびを打ち込んでいかないと、いけないのかも知れません。より所は、『民主・自主・公開』でしょう。

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