自然放射線を正しく知る(1)

私たちは自然界からも放射線を受けています。自然放射線と言います。人工放射線(核実験や原発の影響などで浴びている放射線)同様、体外から直接放射線を浴びる外部被ばくと、体内に入り込んだ放射性物質による内部被ばくがあります。
自然放射線による被ばく量の合計(外部被ばく量+内部被ばく量)は、世界平均では2.4ミリシーベルト/年(1988年国連科学委員会報告)。日本では平均1.4ミリシーベルト/年(若干異なるデータもあり)と推定されています。
例えばインドのケララ州の一部では、大地からの放射線だけで35ミリシーベルト/年という数字もありますが、今のところ、それが原因でガンが多発しているといったデータはありません。
こういった自然放射線の数字を楯に、「自然放射線以外の被ばく量を年間1ミリシーベルトとするのは厳しすぎる」などと主張する人たちがいますが、これはまったくの間違いです。そのあたりを分かりやすく解説したいと思います。

まず、どこから来る自然放射線なのかという視点から考えてみましょう。
自然放射線は、「宇宙から飛んでくる宇宙線に由来する放射線」と「地球創生期から大地の中に存在する天然放射性物質に由来する放射線」の二つに分けられます。

宇宙線とは、宇宙空間を飛び交う放射線のことで、常に地球にも降り注いでいます。大部分が高エネルギーの陽子で、一部がアルファ線(ヘリウム原子核)です。他に様々な素粒子もありますが、微量です。これらは一次宇宙線と呼ばれ、大気圏に入ると空気中の原子や分子と衝突して、二次宇宙線と言われる中性子やガンマ線を生み、一次宇宙線自体は、ほとんど地表まで到達しません。
二次宇宙線もまた、大気中で様々な原子や分子と衝突し、地表面(海抜0メートル)まで到達するのは、平均0.03マイクロシーベルト/時。年単位で見ると世界平均では0.35ミリシーベルト/年です(この年平均は海抜0メートルのデータではありません)。

宇宙線の量は、地磁気の関係で、緯度が高くなるほど多くなります(赤道で一番少なく、北極、南極で多い)。また、海抜が上がれば、通過する空気の層が薄くなるので、増えることになります。よく飛行機で海外へ行く場合の被ばく線量が取り上げられますが、これは宇宙線の影響によるものです。高度1万メートルにもなると、宇宙線の線量は、かなり増えてきます。

一次宇宙線やそれから派生する放射線と空気中の原子や分子との衝突によって、ナトリウム22や炭素14などの放射性元素も生成されます。ベータ線を発する炭素14は、主に飲食で体の中に入ってきます。これによる内部被ばく量は、臓器やによってことなりますが、数10マイクロシーベルト/年程度です。

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