続・奇妙な一致(1)

「奇妙な一致」の続編です。前稿は、日本語のサイトや文献からの孫引きだったせいもあり、一部に不十分な内容がありました。
決定的な間違いは無かったのですが、確かに資料として説得力を欠く部分があったことをお詫びします。

そこで、さっそく再挑戦!みずからの中学生レベルの英語力を駆使して、オリジナルのソースを探ってみました。
まず、「アメリカの原子力施設と乳がん患者の相関関係」は
、J.M.グールドという統計学者が著した「The Enemy Within:The High Cost of Living Near  Nuclear Reactors」(1996年刊)にある記述です。ネット上に、一部を抜粋している英語のサイトを発見。私の英語力では力が及びませんでしたので、仕事で翻訳もやっている友人の協力を得て和訳しました。感謝!

【翻訳】
米国に約3,000ある郡のうち、およそ半分は「核」郡であると定義することができます(地図上に黒とグレーで表示されている部分を指すと思われる(訳者))。というのも、それらは原子炉から100マイル(160km)以内に位置しているからです。1985~89年における全米の乳がん死亡者の2/3以上が、これらの地域に集中しており、乳がんの年齢調整死亡率[訳注あり]においても、10万人当たり約26人となっています。これはその他の地域の22人と比べても、はっきりと高いことが分かります。

もっともリスクの高い「核」郡は、地図上に黒く記してあります。この地域は、主に10万人当たりの乳がん死亡率が28人と高い数値を示した北東部であり、ここには、同32人という高い値を示したニューヨーク郊外も含まれています。これらは、最も原子炉が集中している地域と重なるのです。
また、五大湖と西海岸の「核」郡も10万人当たりの乳がん死亡率が、全米国比率の24.6人を明らかに上回る結果となっています。

ハンフォードのDOE原子炉[訳注あり]や、アイダホやニューメキシコの国立研究所[訳注あり]周辺の南部の「核」郡は、グレーで記されていますが、1950年以来、(乳がん死亡率が)全米比率と比べても、かなり大きい増加を示してきました。

また、米国基準を上回る放射性物質漏出をしたことがない5つの原子炉周辺を含む「非核」郡は、地図上に影がつけられていません。これらは、主にロッキー山脈とミシシッピー川に挟まれた地域で、ここでは乳がん死亡率が低下していることが見てとれます。

□訳注
●年齢調整死亡率=死亡率を比較する場合、年齢構成に差があるので自治体ごとにばらつきが出ます。つまり、高齢者の多い地域では高くなり、若年者の多い地域では低くなってしまうのです。そこで、年齢構成の異なる地域間の死亡状況を比較するために、年齢構成を調整した死亡率を「年齢調整死亡率」といいます。
●ハンフォードのDOE原子炉=マンハッタン計画でプルトニウムの精製が行ったハンフォード核施設のこと。ワシントン州東南部にあります。
●アイダホの国立研究所=国立原子炉試験基地(現在のアイダホ州国立研究所)のこと。世界初の原子力発電を行った施設です。
●ニュー・メキシコの国立研究所=広島と長崎に投下された原爆を製造したロスアラモス研究所のことです。
【翻訳関連ここまで】

長くなりそうなので、ここで記事を分割することにします。

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