海からストロンチウム

ちょっと反応が遅れてしまいましたが、5/8、福島第1原発の敷地内や周辺の海からストロンチウム90が検出されたとの発表がありました。当ブログを含む様々なところで、「どうしてストロンチウム90のデータが出ないのか?」という指摘があるなかで、東電も原子力安全・保安院も文科省も、ずっと黙り通していました(4/12に一度だけ、文科省が浪江町と飯舘村で微量を検出と発表)。

ストロンチウム90は核分裂反応によって作られる放射性物質で、運転中の原子炉内では、セシウム137とほぼ同量が生成されます。チェルノブイリの報告を見ると、事故現場から離れるほど、ストロンチウム90はセシウム137よりも減っています。これは大気中の塵に乗りにくいからと考えられます。逆に言えば、事故現場近くには高濃度で存在するということです。
海洋汚染は深刻です。カルシウムと性質が似ているので、イオン化して海水に容易に溶け出すと考えられます。溶け出したストロンチウム90をせっせと体の中に取り込むのが、この間、話題となっているコウナゴ。そしてオキアミ。食物連鎖に従って、大きな魚へと汚染が進む可能性は高いです。魚も人間も、生物は皆、ストロンチウム90をカルシウムと勘違いして、骨に溜め込みます。骨に集まったストロンチウム90は、ベータ線を骨髄に向けてピンポイント照射し、白血病を引き起こします。最も深刻な内部被曝と言われる所以です。
モニタリング(監視)を徹底して行う必要があります。やっと文科省も海のストロンチウム調査を実施すると発表しました。

ストロンチウム90をめぐる恐ろしい話が残されていますので、ご紹介しましょう。
登場人物は、広島と長崎に原爆を落としたマンハッタン計画の中心的科学者、ロバート・オッペンハイマーと、やはりマンハッタン計画に従事した科学者、エンリコ・フェルミです。

フェルミ「ヒットラーに原爆製造を思い留まらせるには放射性物質をドイツの小麦畑に蒔くのが効果的だ」
オッペンハイマー「それには骨に沈着して離れにくいストロンチウム90が一番よい。ただし、50万人を殺せる確信ができるまではやめた方がいい」
(「内部被曝の脅威」(ちくま新書)より)

ストロンチウム90の恐ろしさは、70年近く前、すでに科学者の間では常識だったのです。

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