オキアミを見れば海がわかる

オキアミと言えば、釣りのまき餌か佃煮の素材。いや、ヒゲ鯨の主食なんてことをご存じ方もいるかも…

まぁ、小さなエビのような形をしたプランクトンです。ただ、海の生態系の中で果たしている役割は大きく、自分よりも小さい植物プランクトンや動物プランクトンを食べて、みずからは多くの魚の餌になります。

オキアミにはエビと同じような殻があります。殻はカルシウムたっぷり、身にはタンパク質。鯨だけでなく、多くの魚もオキアミを主要な栄養源としています。

さて、福島沖、茨城沖は、オキアミが多い好漁場と言われてきました。暖流と寒流がぶつかり合う海域だからです。秋、秋刀魚が三陸沖から銚子沖へと下るのは、オキアミを追ってのことです。

もし、オキアミが大量に生息する水域で、核分裂生成物のストロンチウム90による汚染が進んだらどうなるでしょうか?このブログで何度か書いてきましたが、ストロンチウム90はカルシウムと似た性質を持っています。生体は、ストロンチウム90とカルシウムの見わけができないので、骨のないオキアミではストロンチウム90が殻に集中的に蓄積することになります。オキアミはせっせと殻にストロンチウム90をため込み、その濃度を上げていきます(生体濃縮)。さらにオキアミを餌とする魚の体内に入り、ここでも濃縮されていきます。
最後は食物連鎖の頂点にいる私たち人間です。この頃には、ストロンチウム90の濃度はオキアミがそれを体内に取り込んだ海とは比べものにならないものになってます。ストロンチム90は、私たちの骨に溜まり、骨髄にある造血細胞に至近距離から放射線(ベータ線)を照射。白血病を引き起こします。

一説ですが、地球上に生きる人類の全体重とオキアミの全体重を比べると、オキアミの方が重いという研究もあります。オキアミは「海洋生態系のエンジンを動かす燃料」とも言われています。ちょっと気取った比喩で分かり難いかも知れませんが、オキアミがいなかったら地球の海の生態系は成立しないということ。それくらい海にとって、そして地球にとって重要な生物なのです。

ストロンチウム90などの核分裂生成物によってオキアミの汚染が進めば、深刻な事態になることは自明です。一方、オキアミは、ほぼ自走能力を持たず、潮の流れの中で漂っている生物です。…ということは、オキアミの汚染度を詳細な海域別に掌握できれば、しばらくの間、魚を獲ってもよい海域と、絶対に魚を獲ってはいけない海域が特定できるはずです。

福島・茨城の漁業者のために、そして私たちの健康のために、オキアミの核分裂生成物濃度(特にストロンチウム90)を綿密に、そして継続的に調査する必要があるでしょう。

追記:
この記事を書いている4/18時点で、Googleで「オキアミ 放射線」「オキアミ ストロンチウム」で検索をかけても、有用と思える情報を掲載しているサイトは見つかりません。

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