東京水道水戒厳令の謎

東京都が金町浄水場でのヨウ素131の検出データにもとずき、その配水地域である23区と武蔵野、三鷹、町田、多摩、稲城の5市に「水道水の乳児の飲用制限」を要請したのは 3月23日のことでした。いわば「東京水道水戒厳令」の発令です。
この時、ふと頭に浮かんだのが、「武蔵野や三鷹は都からの給水に井戸水を混ぜて給水しているでは」という記憶でした。幼い頃、三鷹市で育った私は、「三鷹の水は井戸水」と小学校で教わり、その後、「井戸水が足りなくなったので、今日から東京の水が混ざるんだって。水がまずくなるね」と母から言われたのを覚えていたのです。

三鷹市では、金町浄水場の水は最大で6%。武蔵野市では約2%です。そんな事実は知っている人はあまり多くありませんから、三鷹でも武蔵野でもミネラルウォーターに人が群がり、あっという間に売り切れです。
しかし、都の水道関係者なら、井戸水ブレンドの話は皆知っていたはず。特にさし迫った危険がなかった三鷹と武蔵野にまで、なぜ「水道水戒厳令」が発令されたのか?実際に23区内ではヨウ素131の濃度が上がった地域もあったと思いますので、「水道水戒厳令」自体がおかしいとは言いませんが、どうも変です。
東京で買い占めが進めば、地震と津波と原発事故に追われて避難所で暮らす人たちに届く水も届かなくなってしまします。私たちは、厳に買い占めを慎まなくてはなりませんが、都が逆に買い占めを煽るような不正確な情報を出したことが信じられません。また、私が知る限り、この件にして、三鷹市も武蔵野市も東京都に抗議したという事実はないようです。
うがった見方はしたくありませんが、乳幼児のいる家庭へのミネラルウォーターの無料配布で株を上げた石原都知事の人気稼ぎに利用されたような思いです。

一方で、福島第1原発に近い福島県内や茨城県内では、水道水の汚染が深刻です。水がなければ生活が成り立たないのは自明。いまだに核反応生成物の放出が続いているので、見通しすらつきません。昨日、大気中から受ける累積放射線量を理由に、事実上、避難地域が半径30㎞に広げられました。今後は、汚染された水のせいで住めなくなる地域が出てくるかも知れません。
一刻も早く、核反応生成物の放出を止めてほしいものです。

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