これが原子力ムラ、いや、原子力マフィアの頭の中だ。
日本原電の副社長・和智信隆は24日、東海第2原子力発電所がある茨城県東海村と水戸市など周辺5市の首長に対し、同原発の再稼働を巡る自身の発言を撤回して謝罪した。和智は7日、6市村と3月に結んだ安全協定について「拒否権という言葉はない」と発言していた。
2018-11-25 NHK 「拒否権という言葉はない」日本原電が発言撤回し謝罪
「原子力規制委員会からお墨付きをもらったのだから、ガンガン行くぞ!地元自治体なんぞはお構いなしだ」という発想。安倍政権と財界の原発推進策をストレートに反映したと言えるだろう。
そう言えば、先日、元京都大学原子炉実験所(現・京都大学複合原子力科学研究所)の小出裕章さんの講演を聞く機会があった。「あれば、原子力規制委員会ではなくて、原子力推進委員会ですよ」と苦笑いしていた。
2012年、政府は東京電力福島第1原子力発電所の事故を受け、原子炉等規制法(正式名称は「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」)を改正。そこには、次のような記述がある。
「発電用原子炉設置者が発電用原子炉を運転できる期間は、使用前検査に合格した日から起算して40年とする」と。
ただ、ちゃんと抜け道が用意されていて、「ただし、この運転期間はその満了に際し、原子力規制委員会の認可を受けて、1回に限り、20年を超えない期間であって政令で定める期間を限度として延長することができる」とも記されている。文面を正直に読めば、“例外規定”だろう。
ところが、これまで延長申請があった関西電力高浜1号、2号、美浜3号、そして今回の東海第2の4基では、すべて例外規定が適用された。40年規制の原則を守ったものは、これまでに1つもない。なんと合格率100パーセントだ。
東海第2原子力発電所は、1978年11月28日運転開始。あと数日で40年が経過するが、原子力規制委員会が、滑り込むように運転延長を認めたのが、11月7日(この日に、和智の問題発言があった)。原子力マフィア内の出来レースと言わずして何と言おうか!
もうひとつ、思いだしておこう。東海第2は東日本大震災で被災した原発だ。
地震で外部電源を失い、流れ込んだ津波によって、非常用ディーゼル発電機3台のうち1台が停止した。原子炉は冷却し続けられたが、津波があと70センチ高ければ全電源を喪失し、原子炉の冷却ができなかったと指摘されている。日本原電自身も、「(冷却機能が全て失われた)福島第一の事態になった可能性は否定できない」と述べている。
そういう原発を再稼働させいようとしている。そして、当事者の頭の中は、もはや暴走機関車と化している。
そもそも、「原発は40年はもつ」という科学的・技術的な裏付けすらないのに…
追加情報:
2018年10月26日 東京新聞 「東海第二 営業運転40年 元技術者 延長に警鐘」2018-10-26_東京新聞_東海第二-営業運転40年-元技術者-延長に警鐘