関西以外のエリアでは、すべての原発が止まっています。しかし、計画停電も、強制的な節電もなく夏が乗り切れています。一般家庭や企業における、ちょっとした節電意識の高まりだけで原発は要らなくなったのです。いや、そもそも、要らなかったと言うべきでしょう。
最大の問題は、原発依存率がもっとも高い関西でした。関電と国は「大飯を再稼働しないと過酷な計画停電を実行するしかない」「産業への影響が多大」といった脅しをかけて、大飯原発3号機・4号機の再稼働を強行しました。高まる再稼働反対の声に耳を貸さずに。
迎えたこの夏は、全国的な猛暑。関西もその例外ではありません。しかし、「原発再稼働しとったから、エアコン止まらんで助かったわ~」とはならず。関西の夏もまた、原発なしで十分に乗り切れたことが明らかになったのです。
振り返ってみると、京都大学の小出先生をはじめとする良心的な研究者たちは、3.11の直後から「原発がなくても電力は足りる」と主張してきました。
しかし、原発推進派は「小出さんは反対派だから都合の良いデータだけで計算している。もし、大停電が起きたらどうするのか!」などと叫んで、正しい意見を押しつぶしてきました。
それにしても、なぜ、電力会社は原発にこだわり続けるのか… ひと言でいえば、儲かるからなのです。
電気事業法によって定められた総括原価方式によって、日本の電力会社は、絶対に損をしない仕組みになっています。
簡単に言えば、資産に対して一定の比率で電力会社の報酬が決められ、「原価+電力会社の報酬=電力料金収入」となっているのです。この電力料金収入から、電気料金を算出するのです。これでは、企業努力や自由競争による料金の値下げなど絶対にあり得ません。
上の図を見て頂ければ、高額な資産を持てば持つほど電力会社の報酬が増えるのがお分かりだと思います。だから、「高額な資産=原子力発電所」を持ちたがるのです。
信じられないことに、危険極まりない使用済み核燃料まで資産として計上されています。資産額が電力料金に跳ね返るのは、言うまでも有りません。
「原発ゼロ=全原発の廃炉」が決定されれば、原発も使用済み核燃料も資産価値がゼロになります。その分、電力会社の報酬は減ります。一方で、廃炉費用を原価に組み込むことが出来なければ、電気料金を下げざるを得なくなるのです。総括原価方式がある限り、電力会社が原発ゼロに首を縦に振るワケがないのです。
では、どうすればよいのか…
「ただちに全原発の廃炉」を求めると同時に、「総括原価方式の廃止」「地域独占の廃止」「発送電の分離」の3つを実現することです。
そんなことをすれば、電力会社が潰れてしまう?大丈夫です。私たちが支払ってきた電気料金で作り上げた送電網という巨大な資産があるのですから。