福島意見聴取会と議事堂前解放区をめぐって

全国で行われている「将来のエネルギー政策に関する政府主催の意見聴取会」。7月29日までの開催分で、「原発0%=全原発の廃炉」の意見が7割です。
8月1日に開催された福島の聴取会では、30人中ただ一人が15%案支持で、29人が0%。原発ゼロを求める声が97%を占めました。

そもそもこの意見聴取会、「2030年に…」という誰が決めたのか分からない条件の下に意見を聞くというスタンス。なぜ「ただちに全原発を廃炉」という選択肢が入っていないのか? 多くの人たちが疑問を感じています。
福島では、「原発再開のアリバイ作りではないか」「命あっての経済であり再稼働はおかしい」といった発言もありました。先の見えない避難生活、確保されない移住権、責任を回避する東電と政府… 福島の人たちの怒りは頂点に達しています。

東京では7月29日に大規模な反原発デモ。国会議事堂正面玄関前に数千(数万?)の人々がなだれ込み、いわゆる解放区状態になりました。これは1960年の安保闘争以来、62年ぶりの出来事です。大メディアは意図的に小さく報道していますが、実は歴史的な出来事でした。

60年安保も70年安保も、こういった街頭闘争(言い方が古い(笑))には、常に指導的な立場の人がいて、基本的にその指揮(時には煽動)に従って多くの人たちが動いていました。しかし、今起きている反原発のうねりは、既存政党や既存政治勢力からまったく無関係のフツーの人たちが次々と集まって大きな運動になっています。
鉄柵で閉鎖した車道へなだれ込んだのですから、警察に言わせれば「不法行為」でしょう。しかし、機動隊は手も足も出すことができません。皆、フツーの人たちだからです。

当方、国会議事堂前では最前列に行きましたが、そこには老若男女、様々な人たちがいて、政府への怒りの声を精一杯上げていました。中には、小さな子どもオンブした若いお父さんまで。「原発再稼働反対の声を議事堂正面で叫ぼう!」という当然の思いが議事堂前解放区につながりました。

撮影:広河隆一

●静止画資料集
7.29脱原発国会大包囲【ウシトラ旅団アルバム】
幅広い層が集まった当日の様子を伝える写真集。

●動画資料集
7.29脱原発国会大包囲~空撮チャンネル 第二便【Ustream/IWJ】
44:40あたりから車道占拠が始まります。歴史的瞬間をとらえた貴重な空撮映像。

脱原発の鎖が国会包囲。議事堂前に解放区!【YouTube】
出来事全体の動きが分かります。

7.29 脱原発国会大包囲 国会前解放広場最前線【YouTube】
最前列の様子をつぶさに伝えています。

いっとき、福島では、「東京の人たちは気楽でイイよね。金曜日に官邸前に集まってりゃいいんだから」とシニカルな意見があったとも聞きます。しかし、意見聴取会を含むこの間の福島の人たちの声、そして、東京では毎金曜日の首相官邸前抗議行動と国会大包囲に数万の人々。溝は埋まり、一つの大きなうねりになりつつあります。

「福島の被害者の速やかな救済」「大飯原発の停止」「全原発の即時廃炉決定」。これこそが民意なのだと、政府に思い知らせてやる時が来ています。
そして、「東電と日本政府(=歴代政権)の責任の明確化」。こういったことが大切になってくると思います。

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