外部被ばく線量計算機

被ばく線量の計算について、混乱が続いています。「自然放射線の分はどうするの?」「外部被ばくと内部被ばくって合計できるの?」などなど。

当サイトは、内部被ばくを外部被ばくと一緒くたにして、「シーベルト」で評価することに反対です。放射性物質は種類によって集積する器官や内臓が違うからです。全身に均等に被ばくを受ける外部被ばくと内部被ばくは分けて考える必要があります。

今回は、まず、外部被ばくに注目。ご自身の放射線測定器で計った実測値や、自治体からの発表値などから人工放射線による被ばく量が算出できる計算機を作ってみました。3.11以前と比べて、外部被ばくが、どれだけ増えているかが、一目で分かります。

計算式は以下です。

● ご自身で計った実測値の場合:

● 自治体などからの発表値の場合:

 

計算機は、エクセルで作りました。
計算機ダウンロードをクリックしてもらえれば、ZIPファイルがダウンロードできます。解凍するとエクセルになります。配布は自由です。
「屋外・屋内の実測値から」「自治体などの発表値から」というタブから選んでご使用ください。3番目の「参考 大地と建物からの自然放射線」は、自然放射線による被ばく量計算の根拠です。主に参考にしたサイトは、国連科学委員会「放射線とその人間への影響」(2000年版)に基ずく、原子力百科事典ATOMICA「世界における自然放射線による放射線被ばく」「大地ガンマ線からの空気吸収線量率(空気吸収線量率=空間線量。「大地」とされていますが、建物からの分も含んでいます)」「屋内における外部被ばく軽減係数」です。
原発推進派の広報サイトなので、「実効線量換算係数(=実効線量/空間線量)」が0.7とやや低めだったり、「木造家屋の屋内における被ばく線量軽減係数」が0.4とこれまた低め(NHKの番組では0.5を採用していたものも)だったりするのですが、他にある程度信頼できそうなデータが見つからなかったので、これに依拠しました。どうしても、ある基準と見られてしまうICRPの「年間1ミリシーベルト(1mSv/y)以下」は、自然放射線からの被ばくを除いた上乗せ分ではあるのですが、外部被ばくと内部被ばくを無作為に合計しています。ですから、この計算機による計算結果とは比較しても意味がありません。計算結果は、「外部被ばく量が、3.11以前と比べて、どのくらい増えているのか」という視点から見て頂けると有効かと思います。自然放射線に上乗せされた年間実効外部被ばく線量と、外部被ばく量全体が3.11以前に比べて何倍なのかが分かります。「しきい値なし直線仮説」に従えば、まず大雑把に言って、外部被ばくによって、放射線による発ガン率が○倍に増えると解釈できます。また、○倍の意味は、単純に「大地と建物からの自然放射線」が増えたのとは訳が違います。自然放射線の線源は、ほとんどが岩盤や道路の舗装、建物のコンクリートの中です。これを吸い込んで内部被ばくすることは、まずありません。
ところが、増えた分は、目の前の地面や屋根の上にある放射性セシウムによるものです。それは、ちょっとしたことで舞い上がり、私たちの身体の中に入り込み、内部被ばくを引き起こします。また、計った場所が畑であれば、その放射性セシウムは、やがて野菜に吸収され、私たちの身体の中に入ってきます。
3.11以降の外部被ばくの上乗せ分は、内部被ばくの危険度を示す、ある種のバロメーターでもあります(数字的な意味はとして曖昧ですが)。

 

●ご留意頂きたい点
1. 『屋外・屋内の実測値から』の白セル内には、計測器が指した数値そのものを入力してください。自動的にバックグラウンド線量を引いて、上乗せ分(要するに福島第1の影響分)の年間実効外部被ばく線量が算出されます。
2. 『自治体などの発表値から』の白セルに入れる数字は、「発表された実測値」です。もし、「上乗せ分」で発表されている場合は、自然放射線の分の0.05μSv/hを加えて入力してください。

●自治体や報道機関に対して
要らぬ混乱を避けるために、発表する線量が、「実測値」なのか、「自然放射線の分を差し引いた上乗せ分の実効線量」なのかを常に明示するようお願いしたいです。

●ありそうな質問に対して
Q1. どうして、全ての放射線からの被ばく量ではなく、自然放射線の分を差し引いた値を計算するのですか?

ICRPの「年間1ミリシーベルト以下」などの基準が、すべて、自然放射線に対する「上乗せ分」で決められているからです。この背景には、世界的に見ると地域によって、自然放射線の量が異なるという理由があります。日本でも、本当は場所によって若干異なるのですが、現在は、全国平均値の0.05μSv/hを使用している自治体がほとんです。

Q2. 『大地と建物からの自然線量』が、屋外と屋内で変わらないのはなぜですか?

自然から来るガンマ線は、ほとんどが土や岩盤、植物に含まれる放射性物質が線源です。ちょっと考えると、屋外の方が小さくなりそうですが、事実は逆です。
国連科学委員会の報告によると、多くの国で、屋内の方が自然線量が高くなっています。これは、建材に使われている石やコンクリートに含まれる放射性物質(ルビジウム87・ウラン系列核種・トリウム系列核種など)が影響しているためです。
木材にもカリウム40が含まれていますが、被ばく量は、石やコンクリートからより低くなります。これが、日本では屋外と屋内の自然線量が、ほとんど同じになっている理由です。
これに対して、上乗せ分(福島第1の影響分)は、地面や屋根の上にある放射性セシウムが、主な線源ですので、屋内に入ると下がります。低減率は、木造家屋で0.4とされています。

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