その東海村が、明確な脱原発の方針を打ち出しました。
『JCO臨界事故:国を痛烈批判 茨城・東海村で臨時の朝礼』(毎日新聞9月30日)
私は、仕事で何度か東海村に行ったことがあります。数日間滞在したこともあり、なんとなく雰囲気は身体で分かっているつもりです。初めて訪れた時、「原子力が来る前、ここは穏やかな日差しの下に田畑が広がっり、海岸には小さな漁船が並んでいたんだろうな」という寂しい想いが頭を過ぎったことを覚えています。
就労人口の30%が直接の原子力関係者と言われ、その他にも、土建・建築関係はもとより、スーパーマーケットから居酒屋に至るまで、原子力無しでは立ちゆきません。
JCOの臨界事故から12年になる9月30日、その東海村の村上達也村長が「人に冷たく無能な国に原発を持つ資格はない」という厳しい言葉で、明確に脱原発を打ち出したのですから、国にとっては大事件でしょう。
JCOで、原子力事故の恐ろしさと、それに対する国の対応があまりに冷酷だったとことを身を以て知った東海村の人たち。福島第1の事故を受けて、ついに国に対してはっきりと反旗を翻したのです。
東海村の勇気ある脱原発宣言。大きな拍手を送りたいと思います。
東海村だけではありません。
『南相馬市、新原発の交付金辞退へ 住民の安全を優先』【朝日新聞8月4日】
『原発新規立地めぐる交付金、浪江町も辞退へ 町長が明言』【朝日新聞9月6日】
『静岡県知事、浜岡原発再開の可否を独自で判断する考え強調 』【日経9月27日】
住民の声に押されて、自治体の脱原発への動きは急を告げています。
自治体が脱原発に舵を切ろうとする時、最大のネックになるのが住民の就労問題です。原発周辺の自治体では、多くの住民が原発関連の仕事に就いています。しかし、これは、ちゃんと手当をすれば大きな問題にはならないはずです。まず、廃炉などの行程に入れば、十年以上にわたって地元から多くの労働力が必要になります。その間に並行して、農業や漁業を立て直すことが可能です。また、自然エネルギーの基地として新たな道を探ることも考えられます。選択肢は、風力、太陽光、潮力、地熱など様々。地域にあった自然エネルギーを見つけ出し、エコの町としての再出発を考えるのです。自然エネルギーの活用のためには、原発よりも労働力が必要になりますから、雇用問題もクリアできるはずです。
本当は、地方自治体の脱原発を妨げる大きな枷は存在しないのです。
追記:
自治体の脱原発への動きは、日本だけではありません。原発大国と言われるフランスでは、福島第1の事故を受けて、国内最古の原発=フェッセンハイム原発(まさにフランス原子力の聖地)周辺の自治体が次々と「原発停止」を決議。サルコジ政権の原発推進策の前に立ちふさがろうとしています。
日本中で、世界中で、自治体が脱原発の旗を翻し始めました。このうねりをなんとか、地球上からすべての原発を無くすところにまでつなげていきたいものです。