これは、5月27日に示された「学校内では年間1ミリシーベルト以下目指す」という指針をより明確化して、毎時当たりの空間線量にまで落とし込んだものです。これによって、「年間20ミリシーベルト」「毎時3.8ミリシーベルト」という基準は、完全に撤回されたことになります。
しかし、本ブログで既報の通り、「学校 年間1ミリシーベルト」は安全な数値とはとても呼べないものです。
今回示された毎時1マイクロシーベルトを、通学日数=200日、1日当たりの学校滞在時間=6.5時間(屋内=4.5時間/屋外=2時間/コンクリート校舎による低減係数=0.1)で積算し、これに給食などによる内部被ばくを加算しても、年間0.534ミリシーベルトにしかならない。従って、十分に安全だというのが文科省の主張です。
試しに、
1μSv×(2時間+4.5時間×0.1)×200日
で計算すると、外部被ばく線量は年間0.49ミリシーベルトにしかなりません。内部被ばく量算出の根拠がどこに有るのか不明なのですが、この0.49ミリシーベルトに内部被ばく分を足したものが年間0.534ミリシーベルトということのようです。
しかし、子供たちは、学校を離れている時、放射線をまったく通さない鉛の部屋にいるわけではありません。逆に、学校などから除染を進めているので、学校を離れると、より線量が高い場所にいると考える方が自然です。
では、毎時1マイクロシーベルトを前提に、24時間365日の年間外部被ばく量を計算してみます。屋外=8時間、屋内=16時間、屋内の低減係数=0.1とすると、年間3.5ミリシーベルトです。木造家屋の低減係数=0.4を使うと、年間5.3ミリシーベルトにもなります。
実は、原発の作業員で白血病などのガンになって労災認定されている人の中には、年間被ばく線量が5ミリシーベルト強だった人も含まれています。国もそのブレーンになっている学者たちも、年間5ミリシーベルトが、大人にとっても十分に危険な数字であることを知っているのです。
福島の学校を、いえ、福島をこのままの状態にしてよいはずはありません。あくまで、24時間365日で1ミリシーベルト以下という国際基準を前提にした対策を進めること。それを政府と東電に求めていく必要があります。