身の回りの放射性廃棄物はどこへ?

稲わらに堆肥、下水処理場の汚泥、ゴミ焼却場の灰、校庭などの除染のためにすき取った表土… 福島第1から出た放射性物質によって汚染された危険な廃棄物が、次々と生まれています。
これまで、放射性廃棄物といえば、使用済み核燃料や原発で使用された資材などを指すものでした。しかし今、原発事故による新種の放射性廃棄物が、私たちの身の回りにあふれています。

国も東電も、これらの放射性廃棄物の行き場を確保していないので、施設ごとに集められ、山積みにされている例がほとんどです。
しかし、このままでは、例えば畑の隅に集められた稲わらや堆肥から土壌や地下水へと汚染が進む可能性があります。校庭の片隅に、ビニール袋に詰めた汚染土壌を放っておいてよいはずがありません。

一方、下水処理場の汚泥やゴミ焼却場の灰に放射性物質が集まってきているのは、不幸中の幸いとも言えます。どこかに集積しなかったら、日常の生活空間を彷徨い続けるのですから。現場の労働者に危険がないよう細心の注意を払いながら、汚泥や灰を適切な場所に移す必要があります。

放射能下水汚泥、行き場なし 業者引き取らず、保管限界

福島県内では、多くの学校が、汚染されたプールの水を排水できずに困っています。下水に流せるところは流すべきだと思います。農業用水路や河川に流れてしまうところは、一旦ポンプ車で吸い上げて下水に流す、といった方法が考えられます。しかし、国は対応をすべて地元任せにして、何の手だても打っていません。
文科省学校健康教育課「基準作りは難しく、各学校と関係者の間で合意してもらうしかない」
経済産業省原子力安全・保安院「プールのみに特別な対応は考えていない」
国土交通省「下水道への排水は問題ないが、地元との調整は管轄外」
行政、いや、あえて「役人ども」と言いましょう。彼らの対応は腹立たしいばかりです。

本来なら、福島第1から漏出した放射性物質に関して、東電は、原子の一つ一つに至るまで回収する責任があります。そして、原子力行政を推し進めてきた国にも重大な責任があります。それを認めてきた国民にも… という言い方をする人がいますが、この間の「やらせメール」などの件などで、原発推進の世論そのものが捏造だったことが明白になりました。それ抜きにしても、「札束で横っ面を張る」ようなやり方で、日本の原発が作られてきたのは、皆さんご存じの通りです。

話を身の回りの放射性廃棄物の話に戻しましょう。
もっとも危険なのは、一旦集まってきた放射性物質が、管理の不行き届きから再拡散することです。また「満杯」を理由に安全基準を緩めることは絶対に許されません(今でさえ十分に緩い)。

個人的には、福島第1の近くに、生活空間から出る放射性廃棄物の集積場をつくるべきだと考えています。残念ながら、原発至近の一帯は、今後数十年、いや数百年にわたって、人が暮らせる環境には戻らない可能性が高いからです(土地は東電なり国なりが買い上げ)。
分かりやすく言えば、福島第1から出たものは、すべて福島第1に戻すということです。

もう一点…
身の回りにあふれる放射性物質に関して、地方自治体は、東電や国に対して、もっともっと強く出る必要があります。まず、地方自治体は放射性物質が出たことに関して、基本的に責任を負っていません。そして、地方自治体には、住民の健康と安全を守る責任と義務があるのですから。これは、極めて分かりやすい話なのです。

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