今回の事故で、3号炉が燃料にプルトニウムを使ったプルサーマル方式だったので、ニュースの中にも、時折、プルトニウムという言葉が登場しています。3号炉で使われているのは、より正確に言えばMOX燃料(Mixed oxide fuel)というもので、ウランとプルトニウムの混合酸化物です。まぁ、天然ウランを濃縮した低濃縮ウランとプルトニウムを混ぜたものと考えれば良いでしょう。
ところで、プルトニウムはどこから得られるのでしょうか?プルトニウムは自然界には存在しない物質です(「ウラン鉱石の中にごく僅かに存在する」という説もあります)。実は、プルトニウムは、ウラン燃料を用いた原子炉の中でしか作ることのできない人工物質・人工原子なのです。燃料棒の中で核分裂連鎖反応を起こしているのはウラン235。その周りは比較的安定しているウラン238です。このウラン238が核分裂連鎖反応で余った中性子を吸収してプルトニウム239になるのです。
ということは、ウラン燃料を用いた原子炉の使用済み核燃料(使用済み燃料棒)の中にもプルトニウムが含まれているのです。
*「プルトニウムは大丈夫か」は、ちょっと長くなりそうなので、いくつかに分けてアップします。